■ 奈良 書道社中展  
     
  私が所属する書道会では、年に1度、門下生全員が作品を発表する「社中展」を開催します。
いよいよ、本年度の開期がやってまいりました。11月中旬、紅葉深まる奈良にて。
 
 
   
     
 

展示された私の作品。
漢詩2行書き。重厚な北魏調(ほくぎちょう)の楷書です。 表具(額装)すると、作品が見違えるほど美しくなります。
 
周囲に地模様の入った真っ白の布をあしらい、和紙との境には、ほんの2ミリ程度の真っ赤な縁どりを施しました。
落款(らっかん/名前のはんこ)と縁どりの赤がお揃いです。
 

 
 
真っ白な地に、黒と赤の色彩がキリリと利いています。
この表具、かなりお気に入り。
 
全景のサイズは、縦210センチ×横90センチくらいです。
     
   
     
  こちらは臨書作品。
臨書(りんしょ)とは、中国や日本の古典作品を模写して書道を学ぶこと。
臨書によるお稽古は、書学習には欠かせません。
 
私は臨書も楷書を出品しました。
この作品は、「造像記」(ぞうぞうき)という石に刻まれた独特の文字を手本に、半紙に書きおさめたもの。
この臨書をもとに、上の2行書きの楷書作品が生まれたというわけです。
 
表具は、折帖という屏風形式。全7ページです。
 
     
   
     
会場風景。
3日間で、600名の方にお越しいただきました。どうもありがとうございました。
 
 
 
 
     
■ 奈良 書道社中展 作品制作 (てん刻編)
 
作品に押すてん刻(石のはんこ)を作りました。
提出のリミットが迫っているだけに、けっこう切羽詰ってます。
 
 
彫る文字やそのデザインを何パターンか考えましたが、
結局、私の雅号(がごう)である「碧水」(へきすい)という2文字をシンプルに彫ることにしました。
雅号とは、書道の場で使うペンネームのようなものです。
 
作品全体のサイズが大きいので、おのずと印も大きくなります。印面(彫る部分)の大きさは5センチ角。
手でにぎると、ずっしりと重い……。
 
 
太い刀でザクザクと彫ってます。
この「水」の直線、ひと息にスパッーと彫るのが快感。
 
通常は、1.5〜2センチ角くらいの印面が多いのですが、大きな石もなかなかいいですね。
彫る作業が大胆なのが気持ちよく、けっこうストレス解消になりました。
 
 
約1時間くらいで完成。
 
彫った後は、試し押しを何度も繰り返し、さらに納得のいく文字に仕上げます。
風合いをだすために石の角を面取りし、わざとカケを作ったり。
てん刻は書道ように一瞬芸ではなく、じわじわと完成へと近づける地道な芸術です。
そして、彫るやめどきがとても難しいんですよね。
手を加えすぎて、後悔することもしばしば……。
 
 
力をこめて、押印(おういん)。
5センチ角はさすがに押すのが大変。印泥(いんでい)をつけるだけでひと苦労です。
手前の印泥は朱色系の「光明」(こうみょう)、奥はエンジ系の「美麗」(びれい)です。
今回は、北魏調の重厚な楷書作品なので、深みのある紅色「美麗」でいくことにしました。
 
 
 
 
     
 
  ■ 行雲流水(こううんりゅうすい)/平成18年社中展作品  
 
私は毎年、自分のテーマとなる言葉をひとつ決め、自分に与えます。
その言葉を、私が所属する書道会の「社中展」にて、毎年発表しています。
 
今年のテーマは、「朱熹」(しゅき)という中国の哲学者がつくった詩。
そして、昨年のテーマがこちらです。
 
 
「行雲流水」(こううんりゅうすい)です。
 
行く雲のごとく、流れる水のごとく、自然の成りゆきにまかせ、素直に行動すること。
 
そんな意味です。
 
生きていると、思い通りにならないことが多々あります。
特に、自分以外の人間、例えば仕事相手や家族など、別の人が介在してくる場合となると、
自分一人の考えや行動だけでは、どうにも解決できないことがあります。
 
昨年は、そんなことに直面した一年でした。
そして、自分に与えたテーマが「行雲流水」です。
 
今でもしんどいときや、壁にあたったときは、この言葉を思い出すようにしています。
成りゆきまかせるしかない……。
そう思うと、少し楽になれるんです。
 
「行雲流水」の作品を手がけていた昨年3月。私は一匹の子猫と出会いました。
それが、「流」(りゅう)です。
 
彼の命名は、「行雲流水」から「流」の一文字をとりました。
そして、巡り巡って私のところへ「流れついて」くれたから……。
そんな意味も込めています。
 
「流」と呼びかけるとき、ふとその当時の、切なく辛い日々を思い出したりします。
 
それから流は大きく成長し、私もずいぶん強くなりました。
「流」を飼い始めてから、私も彼と一緒に成長したような気がします。
 
昨年書いた「行雲流水」は、流れるような言葉のイメージに合わせ、
青墨に、青色系の顔彩を2種類ほど混ぜて書きました。
でも今見ると、とても弱々しく、私の字じゃないみたいです。
今年の社中展のために書いた、楷書体のがっしりとした文字と比べると、
まったくの別人です。
 
「書は人なり」。
 
文字ってやっぱり、人の心を映しだすんですね。
書は、自分に嘘のつけない芸術です。
 
 
 
 
小さい頃の流。平成18年4月撮影。
 
 
 
 
     
 
  ■ 奈良 書道社中展 作品制作  
     
私が所属する書道会では年一回、
『社中展』(しゃちゅうてん)と呼ばれる展覧会を開催しています。
 
社中とは、同じ先生のもとでおけいこを共にする、同志たちのこと。
いわゆる門下生ですね。
 
その門下生全員の作品を展示する『社中展』。
平成19年11月中旬、奈良にてお披露目いたします。
 
私は6月頃からじわじわと練習しており、10月初旬の週末が、いよいよ作品の最終提出日です。
かなり間際ですが、今日と明日はおけいこ場にこもって、最後の書き込みに専念しました。
 
 
大きな作品なので、使う筆はいつもより随分大きめ。
筆の穂(毛の部分)は長さ10センチ、軸は直径2センチくらいあります。
墨の消費量も半端じゃない。
この硯(すずり)では、小さいんですけどね。。。
 
 
今回出品する私の作品。
サイズは縦191センチ×横70センチ。
 
「少年易老學難成 一寸光陰不可輕」
 
「しょうねんおいやすく がくなりがたし
 いっすんのこういん かろんずべからず」


若い時はあっという間に過ぎ、すぐに年をとって学問はなかなか成就しない。
だから、わずかな時間もおろそかにしてはならない。
 
という意味。
作者は「朱熹」(しゅき)という中国の哲学者です。
 
毎年開催される『社中展』に、私はその年の自分の「姿勢」、
すなわち、志しや自分の胸中を表現した言葉を選び、出品しております。
 
私にとって、今年は何かと学びの年。
時間を無駄にせず、努力し、将来への基盤を作るために勉強が必要な年なので、
この漢詩を選びました。
 
書体は私の持ち味である北魏調(ほくぎちょう)の楷書。
筆を痛めつけるように、たたき、くねらせ、
毛の割れもかすれも気にせず、一気呵成に書き上げました。

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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